恋するリスク
キラキラとした目で語る穂乃香。

「そんな簡単に言わないでよ。」

「簡単でしょう。西村先生がちょっかい出してこようと、真緒は今、フリーなわけだし。

真緒だって、佐藤くんのこと、ちょっとはいいなって思ってるんでしょう?」

穂乃香の問いかけに、すぐさまドキッとしたけれど。

少しだけ時間を空けて、私は彼女に返事した。

「・・・まあ、そうだけど。」

「だけど、何?」

「3つも年下なんだよ?私、今まで年下の人と付き合ったことないし。

それに、取引先だから職場恋愛じゃないのかもしれないけど・・・。

また、仕事絡みでうまくいかなかったら・・・結構つらいよ。」

うまくいかなくて、元カレがあの場にもう一人増えるとしたら・・・本当に、私は出勤拒否になるかもしれない。

「年下って言っても、佐藤くんしっかりしてるし。

うまくいかないこと考えてたら、何も出来ないじゃない。」

「そうだけど・・・。」

その他にも。

西村先生のことも、どこかでちょっと、引っかかってて。

多分、まだ完全には・・・西村先生のことは、吹っ切れていない。

佐藤くんにひかれているのは事実だけれど、いいなと思うくらいでは、新しい恋に踏み出す勇気は私にはない。

「まあ、とにかく私は佐藤くんをおススメするし、応援するよ!」

戸惑う私に、そう言って、穂乃香は器用にウインクをした。


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