恋するリスク
なのに・・・。


(あーっ!もうっ!!!)


嫌いになったとか、好きな子が出来たとかならまだわかる。

今はつらくて受け入れることが出来なくても、仕方ないと思える日は、多分きっと、くると思う。

でも・・・。


(婚約者がいたなんて・・・!一体全体どういうこと!?)


鼻息荒く廊下を歩いていると、向かい側から、さわやかな笑顔が向けられた。

「おはようございます。

どうしたんですか?すごい形相で歩いてましたけど。」

そう声をかけてきたのは、菱沼製薬の医療情報担当者、通称MRの佐藤くんだった。

私より3つ年下で、下の名前は奏(かなで)という。

響きの美しい名前によく似合う、キレイでさわやかな、整った顔立ちをしている。

「かっこいい」というカテゴリーでも、西村先生は夜が似合いそうなホスト系であるのに対し、佐藤くんは真昼の空の下、スポーツ飲料のCMにでも出れそうな好青年という印象。



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