俺だけみとけ!
先輩優しいから…―
振り方もそう。
絶対、私の行動迷惑だったはずなのに。
キッパリ、ハッキリ言ってくれなかった。
「私、後悔してないですよ」
『きっと、愛菜ちゃんを笑顔にできるのは他の人だ…』
「へ?」
『亮介…、どうかな?』
桐谷先輩?
明るい先輩…
ドラム叩いてる時の先輩はかっこいいかも。
「桐谷先輩ですか…」
『まぁ、ちょっとどうかなぁーって…、まぁいいや、戻ろうか?』
先輩は笑って私の前を歩いた。
先輩の影を踏み歩く……
影みたいに簡単に人の心の中に入り込めたらな。
「あ、あの!
今までどうりの関係でいてくれますか?」
思い切って一歩前を歩く先輩のシャツを突かんだ。
私、何やってんだろ……
先輩は足を止め振り返った。
『あたりまえ!』
その一言だけで私は満足。
この人を好きになれて良かった。
毎日ドキドキして
ちょっと先輩を意識しておしゃれしたり
ちらちら横目で先輩を見つめては頬を赤く染めた日々…
もうこない。
私は新しい恋を探すんだ!
だから…――
「絶対に先輩、付き合ってくださいよ?
私、応援してますから!」
『ありがとう』
先輩の
照れた顔
困った顔
笑った顔
喜んでくれた顔
ぜんぶ、全部
大好きでした!
―愛菜 side end―