俺だけみとけ!
―帰り道―
人通りがなく静かな道を街灯が照らす…
「ひぃ、明日から私がお弁当作ってあげる!」
赤チェックのマフラーを首にし、暖かそうな顔で言ってきた。
『時間かかるだろ?』
「いーの!
また倒れられちゃやだもん…」
『…』
「それにこれから晩御飯食べにきなよ♪
いつも余っちゃうから…」
後ろ歩きをしながら俺をみる明里。
危なっかしいけど、人通りないし大丈夫だ。
明里がアイツにしていた笑顔が、今は俺に向けられている…
無邪気に笑う明里を街灯が照らす―――
『迷惑かかるだろ』
「うぅん、その逆だよ。
ひぃが夜ご飯食べに来なくなって、寂しがってた。
お母さん、まだ小3なのにってずっと心配してた」
おばさんに迷惑かかるし、食費もかかるし、小3の後半時から俺は家で1人ご飯を食べていた。
だから、毎日の昼休みが居心地が良かったんだ。
1人じゃないし、例えコンビニの菓子パンでさえ美味しいと思えるんだ。
『じゃぁ、遠慮なく…』
「やった!」