俺だけみとけ!
《キーンコーンカーンコーン…》
部活終了のチャイムとともに、部室も後にしようとしたその時!
「橘先輩!」
『愛菜ちゃん、どうした?』
薄いピンク色のマフラーを首に巻いている愛菜は笑顔でこう言った。
「先輩、おめでとうございます!
付き合ったんですよね?」
『ありがとう。おかげさまで』
愛菜ちゃんはただ笑っていた。
「お幸せに!
それじゃ、お先に失礼します!」
『えっ、あ…うん』
そう言い残すと愛菜ちゃんは走って部室を後にした。
ひんやりとした廊下を走って行く愛菜ちゃんの背中は、ギターケースを左右に揺らして消えていった…―
愛菜ちゃん…
背中を押してくれてありがとう。
本当に愛菜ちゃんは強いよ。
そして真っ直ぐだ。