2つの約束
「あの、あの、私、成瀬くんのこと、
す、好きです!」
真っ赤になって、
一生懸命僕に気持ちを伝える彼女を見て
チクリと胸が痛んだ。
思わせぶりな態度をとっておいて
僕はこの子を迷わずにフるんだ。
僕は、どこまでも最低で自己中心的だ。
「白井さん、ごめ」「待って!!!」
僕の謝罪は白井さんによって遮られる。
「答えは、まだいらない。」
「え?」
「答えはわかってるの。でも、気持ちを伝えたかった。これから頑張るから!だから、まだ答えないで...」
何も言えなかった。
こんな最低な僕のために頑張るの?
そんなのやめたほうがいい、僕を忘れた方がいい。
そう思ったけど、僕と違って
相手に駆け寄ろうと努力する彼女を見て
何も言えなくなってしまった。