2つの約束

「成瀬くん...?」



振り返ると、白井さんがいた。



「成瀬くん、泣いてるの?」



心配そうに僕に駆け寄る彼女を
今は見たくなかった。


美紘が忘れられなくて
深い溝ができてもまだ好きで

白井さんと向き合うと決めたのに
僕が求めているのは今だって美紘なんだ

僕を心配しないで
僕を忘れて、嫌いになって

じゃないと、美紘を好きでいることに
罪悪感を感じてしまうんだ。



「大丈夫、なんでもないよ。
ごめんね、一人になりたいんだ。」


彼女の顔を見ることができなかった。
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