乙女たるもの恋されろ!

もともとこの会は高大の友人たちが企画したもので、はじめは「たくさんのひとに広海の誕生日を祝ってもらおう」という主旨のもと学生会館を借りて行われる予定だった。

けれど計画を聞いた彼の母親が「将来社交の場に出て活躍する皆さんに、我が社のホテルと一流を自負するスタッフたちのサービスを通じてすこしでもその空気に馴染んでいただけたら」という申し出のもと、高等部の同級生は全員招待、他学年生も事前に招待チケットを申請すれば参加可能という大規模なものになった。


わたしは参加するつもりはなかったけれど、クラスメイトの親友ユキちゃんにどうしてもとせがまれて一緒に来ていた。そんなわたしを心配してか一学年上の忍ちゃんがわざわざチケット申請までして付いてきてくれたけれど、忍ちゃんが姿を見せるとユキちゃんは「やだ。気が利かなくてごめんねっ」と言い残し、来て早々に姿を消してしまった。

どうやらユキちゃんはマネージャーを務めるサッカー部の面々と合流したようでこちらに戻ってくる様子はない。

食事が気楽な立食式だったこともあって、忍ちゃんと「折角来たのだからちょっとだけつまんでいこうか」と帰る前にビュッフェを楽しむことになり。



そして今に至る。



< 6 / 42 >

この作品をシェア

pagetop