椿の氷
レギュラーにもなった闇之に、同級生や先輩は冷たくあたった

直接何かあるわけではない
が、それも時間の問題だな

ドリンクの使いっぱしりをしている闇之をみて
時川は肩にラケットをたたきつけ口を開いた

「いいのか、華亜羅?
あの子、辛くてやめたら、本末転倒だぞ」

「…俺は、ね
手は出さないことにしているよ
俺がいっては、効果は逆じゃないか」


もっともだ
部長の華亜羅が出向いても
闇之に降りかかる火の粉は、勢いを増すだけだぜ

得心のいかない顔の時川に、華亜羅はとどめとして言った


「…共同庭球は、猛者と強者で溢れている

女の子では、なおのこと標的にされるんだ

彼女自身が強くなるのも、必要なんだよ」




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