椿の氷
「レギュラーになってからです…」

「初日からじゃねぇか!」

クソッ、と冷たい床に口惜しい思いをたたきつける
予想はしていた
だが、まさか気付けないなんて
後悔と自己嫌悪が、俺の中で犇めく

「何でいわなかった」

「…助けてくれるわけないと思ったので」


嘘だ
こいつは、嘘をつくとき嘯く
間違いない
長年の確信だ

しかし、一度それを言うと、簡単には曲げないのが豹那だ
どうしたものか

悩むこと数秒
俺の頭脳に灯火が灯る



「っ!?」


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