椿の氷
雪で創られたような指
そっと指先に口づければ、豹那の肩が跳ね上がる
整える必要のない爪を、先から甘皮まで舌でつき
口の中に閉じ込めた
逃がさんとばかりに吸えば、身を震わせ、表情を変える

「は、離してください」

「なら、言えよ…
どうして俺に言わなかったか
そうしたら、離してやる」

「ですから、あなたが…」



「…却下」


「やめ、…!」

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