椿の氷
甘皮からその先
指と指の間を舐めれば、表情は紅を差し始める
震える瞳で、豹那は俺をみた


「な、何故、そうまでして聞きたいんですか…
私が貴方に嘘をついた理由…」

「豹那…」


考えてみたら、そうだよな
俺がお前に、こうも触れたこと何てない
あろうことか、こんなはしたない真似
一度だってしなかったし、する気もなかった
でも、そうもいかない

「二度と、お前を傷付けないと誓ったから、だ」

「き、傷って…
自分のやっていることをごらんください」

「俺自身は良いんだよ」

「俺様」


「いいから、早く白状しろよ」


そう言って指を甘噛みすれば、観念したように手を挙げる
それでいいんだよ





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