椿の氷
「オイ、眼鏡オレンジ」

「眼鏡はオレンジではありません、黒です
この髪は夕日です…多分」




あれから二日
退部申請をした奴らは、すぐにやめた
そのことだけ知らせに来たが、多分って何だ
日本語に自信持てよ異人

「日本人ですよ
貴方の方がハーフじゃないですか」

「公開すんなハゲ」

「ふっさふっさですが」


確かに、俺はハーフだ
父親が日本人で、母親がフランス人のな
このチビ曰わく、見た目が日本人じゃないらしい

何なのこの子

「そうそう
テメェを傷付けた面子、退部したぜ」

「させた、の間違いでしょう
大事なレギュラーに何ということを…」


ほら
どんだけ冷めていても、こいつは優しいんだ
甘ちゃんなこいつが、あんな重いもん背負ってる
考えられねぇぜ

「…闇之
今日は、ちょっくら墓参りに行くわ」

「…待っています」





黒い雲が、少し晴れた


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