椿の氷
「どっか、悩んでるの?」
闇之チャンは、最初こそ渋ったものの
観念して、小さく言った
「…日本語が、つまりました」
闇之チャンは帰国子女
しかも西洋人の血が流れているときた
頭はいいが、時には読めない日本語もあるらしい
また、闇之チャンを知れた
緩まる頬を隠して、俺は隣に戻る
「どれどれ…」
「…御剣さんの『御』という漢字が…」
蚊のような小さな声だけど
闇之チャンは俺に質問をしてくる
どんな形であれ
闇之チャンは、俺を頼っている
なんだか、鼓動が煩い
隠したくて、闇之チャンの肩を抱いた
俺の脇に収まる体
小さすぎる―――
「助かりました…
ありがとうございます、にし…
西垣さん?」
気がつけば
ドラッグのように
君を離せなくなった