椿の氷
学校の裏には、誰にも知られない場所がある
そこには、一年中咲き続ける椿の木がある
まるで、枯れない呪いをかけられたように

椿は、首からばっさりと散る古の花
その様は、不吉の一言
首からおち、地面に乱れ咲く
武士にとって、それ以上不吉なものがあるか

彼女は、そんな椿の大木に背を預けている
鋭利な瞳を閉じて、躯を預けている
刀をしまった、武士のようだ

いつか、零していた

好きなものは、林檎と椿だと



「おやすみ中だね
可愛い椿姫」


「…お黙り下さい、孔雀さん」


朱雀、なのになァ
ただの椿でも
氷細工で作られた椿かな


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