椿の氷
響いた、俺の鼓動
体中の血がざわめく
欲している
嗚呼、我慢できない


「喉、渇いたよ」

「水道へどうぞ?」

「そうじゃない
水道の水じゃ、潤わない」

「…」

じゃあ何だとばかりに、怪訝な豹那
その華奢な体と木の間に、俺の体を滑り込ませた
堅い俺の体
大きな胸に、隙間が出来るほど小さく収まった豹那
深くなった怪訝な表情
青白い肌
美しい項

「歪な、渇きなんだ」


「っ―――!」



耳に囁いただけで、紅をさす豹那の顔
耳が弱いのか
良いことを知ったとばかりに
俺は舌なめずりをした

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