椿の氷
共同庭球は、強すぎて、硬式テニス界を追放された者のためにある
昔、そんな話を聞いた
破格すぎる猛者達の群がる部活に
あろうことか、丸腰で飛び込む馬鹿はそういない

だが、彼は何様俺様龍牙様
面と向かって断っても、聞いてはくれないだろう
金色の髪をかき乱す彼に気付かれず、此処を離れねば


「どこ行くんだチビ女」

「痛っ!」


無念に散った
隙をついて昇降口に向かおうとしたが
彼に気づかれつかまった
彼の片手に自分の頭が収まってしまったことに、やや悲しみを覚えた

「仮入部届けだしに行くぞ
オラ、歩け!」

「漫画の読みすぎですよサド!
つか離して下さい!」

「嫌だな」




誰か助けて、と周りを見るが、皆勧誘に夢中だった
こんなデカい男、普通気付かないのか!?

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