椿の氷
部長が出て来てしまっては、断るわけにもいかない
まぁ、仮入部だし、本入部届けを出さなければいいのだろう





この時の私は、甘く見ていたのかもしれない
彼らのドSさを




「…必要事項の記入、終わりました」

「うん、ありがとう
えーっと…
闇之 豹那ちゃんね」

「はい
宜しくお願いします」

「宜しく
…おや、丁度良い具合に二人も来たね」

「…チッ
お子ちゃまコンビ来やがった」


「え、」




私に解放の道はないのですか?

振り返れば、水色の髪に緑のメッシュを散りばめた方と
何かを探すような動きで向かって来る方
紫に金を散りばめた髪が、太陽に反射して輝く

水色の方は、金色の瞳に呆れを乗せながら
エメラルドの瞳に血管を血走らせる紫の方をみた


「ヘビタ…
もう諦めろよ
朝練から、何時間捜してんだ
こんな人混みじゃ、もう踏みつぶされてるよ」

「縁起でもないこといわないの!
薄情なトッキーには、俺の気持ちはわかんなァいよ!」

「蛇愛好家の気持ちわかって何になる」

「うるさいよ鳥愛好家!」



賑やかだ
クールな見た目と思っていたが、そんなの間違いだった
二度と人を見た目で判断しないと心に誓う中
朱崎さんが何をしているのかと問う


ふと、


「…御剣さん
背中がムズムズして…!」

「よかったな」

「何か入り込んでんですよ!
気色悪いし、全然良くない!」



御剣さんの腕を蹴り上げた反動で、体から抜け出したそれ
にょろにょろする舌を出すのは…





「あ゛!
ジュニア!」

「何だ、ヘビタの蛇
そんなとこにいたのかよ」



蛇だった



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