いつでも一番星
慌てて誤魔化そうとしたのだけど、ナツくんがはにかんだことによって言葉が詰まった。
落ち着かない様子で、ナツくんは首の後ろに手を当てる。
それから。
「――ありがとう」
はっきりした声で、やわらかく言葉を紡いだ。
夕暮れの名残で照らされたナツくんは……満面の笑顔だった。
きらきら、ちかちか。
ナツくんの背後の一番星とその笑顔。
輝きが重なって見えて、わたしの中で大きな光となる。
――ああ、なんだか。
ナツくんは、わたしの一番星みたいだ。
何度でも見つけたくなる。見つめていたくなる。
無性に心が惹かれる、たったひとつの光。
わたしの中心ではいつでも、大きくて強い存在。
わたしにとってナツくんは、一番星と同じ特別な存在なんだ。
惹かれたと気づいた瞬間から、一気に虜になっていたぐらい。
もうずっと、きみに夢中になっているんだよ。
ナツくん。
どうか、ずっとナツくんのそばにいさせて。
それが……今のわたしの願い事。
こんなのわたしの一方的な想いで、わがままな願いだってことはわかってる。
それでももう、どうしようもないくらいきみに近づきたいって思ってしまうの。
きみが心をさらけ出せる存在になりたい。
嬉しさも苦しさも、一緒に感じていきたい。
どんなときでも、きみの心に寄り添って支えになりたいんだよ。
ナツくんの輝きを、いつでも一番に見つけたいの……。
今日は珍しく、まだ一番星だけが夕闇の空で輝いている。
もっと続いてほしいと思った。
一番星が輝いていられる時間も、ナツくんと一緒にいられる時間も。
ナツくんとわたしの願い事がいつか叶う日を夢見ながら。
ふたりで、一番星を見ていた。