いつでも一番星

文化祭



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中間テストを何とか乗り越えて訪れた、10月最後の土曜日。

ばたばたと忙しい日々の連続だったけど、クラスの催しも部活の展示会も準備は無事に間に合い、ついに文化祭当日を迎えた。


飾りつけられた学校は朝から、いつもより浮かれた空気に包まれていた。

校内の至るところで、最終準備に追われる生徒たちの慌ただしい声が飛び交っている。
その声はどれも、高揚で色めいていた。

授業がある日とは違う行事独特の雰囲気に、自然と心が弾んできて。
徐々に、文化祭だという実感が沸いてくる。


「雫、ユニフォーム似合ってるよー!」

「えへへ、ありがとう!」


わたしたちのクラスの催しであるストラックアウト。

それは体育館の一角でやることになり、着替えも体育館内にある更衣室で済ませることになっていた。

わたしと茉理ちゃんはちょうど今、その着替えの最中だ。
そしてナツくんから借りたユニフォームの上着を着たわたしを、茉理ちゃんが褒めてくれたところ。


「……でも、茉理ちゃん。これ、ナツくんサイズだからぶかぶかなんだけど……変じゃない?」


褒めてもらえたのは嬉しい。

でも身体にフィットしていない大きなユニフォームに、ちょっとだけ不安が残る。


ユニフォームは白地で、襟元や袖口に黒いラインが入っていた。

胸元にはナツくんの出身の中学校名が、金色を黒色で縁取ったローマ字で刺繍されている。


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