いつでも一番星


そんなナツくんの中学時代のユニフォームを借りたわたしは、アンダーシャツの代わりに自前の黒色のロングTシャツを着ているのだけど。
上に着たユニフォームは、それの裾をすっぽりと隠す大きさだった。

おまけに下に穿いている体操服のハーフパンツまでもが、半分ほど隠れてしまう丈だ。

身長差のせいで、わたしとナツくんはかなりサイズが違うみたい。


「全然変じゃないって! むしろこういうのは、ちょっと大きいぐらいがちょうどいいの。ほら、その方がシャツワンピみたいでかわいいでしょ?」

「そうなの、かな……」


すっかりうきうき気分の茉理ちゃんに苦笑しながら、ユニフォームの裾を持って自分の姿を確認する。

確かにユニフォームはシャツワンピみたいに長くてだぼっとしているから、茉理ちゃんが言いたいことはよくわかる。

だけどそれって、着る人によるんじゃないの?

手足が長くて背が高い茉理ちゃんならともかく、わたしが着たらただのサイズミスな印象になるんだけど……。

上手く着こなせていない自分の体型に嘆きたくなるけど、今はそんな暇はなくて。

不安を残したまま髪の毛をポニーテールにして身支度を終えると、更衣室の外で集合しているクラスメートたちに混ざった。



「じゃあ、今日は楽しんでいきましょー! ストラックアウト、盛況させるぞー!!」

「おー!!」


ストラックアウトのルールや仕事の役割分担を、最後にもう一度確認したあと。

みんなで円陣を組むと、文化祭委員の掛け声で士気を高めた。

着ているユニフォームTシャツのデザインはばらばらだけど、心の色は全員同じ。

盛り上がるクラスの空気に溶け込んでいると、盛況させたい気持ちが強くなった。


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