いつでも一番星
「えへへ……ありがとう」
隣で微笑んでくれたナツくんにそう返したあと、照れ隠しで視線を机の上に向ける。幸せと表してもらった、動物たちに。
わたしは、ナツくんに褒められて幸せだよ。
“動物たちのお茶会”は、ひとつの大きな丸いテーブルを囲むように数種類の動物たちを並べて演出した。
テーブルの上にはもちろん、ティーカップとケーキなどのお菓子が作って飾ってある。
動物もオブジェも、それぞれ細部までこだわったつもりだ。
そんな作品全体に視線を巡らせた横峰くんが感心したような声で言う。
「こういう細かいもの作れると、女子って感じするよなー。平岡ちゃんの器用スキル、茉理にも分けてやってほしいぜ。こいつが大会前にくれた部活のお守りなんて、マジで下手くそだったし」
「すみませんねー、女子力皆無なマネージャーで!」
意地の悪い表情を浮かべる横峰くんに、茉理ちゃんがすかさず膨れっ面で対抗する。
ふたりは火花が散りそうな勢いで向かい合うと、すっかりいつものからかいモードに突入してしまった。
こうなってしまうとなかなか口論は終わらない。わたしもナツくんも完全に場外だ。
茉理ちゃんが作ったお守りについてああだこうだと揉めるふたりの顔は、飛び交う嫌味の言葉とは裏腹に楽しそうで。
ちぐはぐコンビを、わたしは苦笑いしながら見守るしかなかった。
「平岡さん、平岡さん。ちょっとこっち来て」
しばらくこの部屋から移動できそうにないなぁと思って、小さくため息をついていると。
ナツくんに少し焦ったような声で呼ばれた。
その方向に顔を向けると、隣にいたはずのナツくんがいつの間にか部屋の窓際に立っている。