いつでも一番星
「うぅっ……」
近づきたい。でも、いざ距離を縮めようとすると、勇気なんて出てこない。
心の中で渦巻く気持ちがそれぞれ別方向に向いていて、今にもばらばらに砕けてしまいそうだ。
どうにかしたいはずなのに、どうすればいいのかもわからないよ……。
唸りながら机に突っ伏したわたしに、茉理ちゃんが苦笑するように息をこぼしたのがわかった。
「……ま、まあまあ。そんなに悩まなくても。本命チョコを渡すのが難しいなら、せめて友チョコとして渡すっていうのはどう? バレンタインなんだから、それぐらいのアクションは起こさないと」
「友チョコ……。わたしとして、結構それもハードルが高いような気がするけどなぁ」
渋々と顔を上げると、不思議そうに目をぱちくりとさせている茉理ちゃんと目が合った。
「なんで? 友チョコなら簡単に渡せるじゃん」
「そうかなぁ……。わたし、ナツくんに友チョコを渡せるほど仲良くないし……」
「えー! なに言ってんのよ! 十分仲は良いでしょ!!」
興奮気味に身を乗り出す茉理ちゃんに押されるようにして、自身の身体を後ろに反らした。
あまりの勢いに椅子ごと倒れそうになる。
「よーく考えてみなって! 明らかに雫は、ナツと仲が良い友達になってるから!」
「そ、そう?」
「そうだよ! 普通に挨拶したり結構頻繁に喋ったりもしてるんだから、そんなの、十分仲が良い友達でしょ!」
「いや、まあ、そうかもしれないけど……」
あまりの迫力に気圧されて曖昧に頷く。