いつでも一番星


ナツくんとは、茉理ちゃんや横峰くんを通じて仲良くなったっていうイメージが、どうしても拭えないんだ。

よく喋るようになったのも、いつも周りに茉理ちゃんたちがいてくれるおかげに思える。

そんな意識があると、ナツくんまでの距離がうんと遠くに感じてしまって……。

わたしはナツくんと友達でいられているのかさえ、危うく思えてしまう。

ナツくんがわたしに“友達”と言ってくれたことはもちろん忘れていないし、あのときの彼の言葉が嘘だとか疑っているわけじゃないんだけど……。

どうしても、友達としての自信が持てないんだ。


「うーん、あたしは逆だと思うけどなぁ」

「逆って……?」

「ナツからしたら、雫は十分仲が良い友達だって思ってるってこと。あとから仲良くなってるっていうのは、むしろいいポイントっていうか、ナツからしたら特別な位置づけになってると思う」

「えー、嘘だぁ……」

「嘘じゃないって。だってさ、よく考えてみてよ。ナツが積極的に自分から話しかける女子って、マネージャーのあたし以外だと雫だけなんだから! それって、結構自信持ってもいいことだと思うよ?」


本当に、そうなのかな……。

ナツくんの交友関係を思うといろんな女子と会話しているし、決してわたしだけが特別ではない気がするけど。

でも茉理ちゃんがそう言うなら、本当にわたしだけなのかな?

事実ならすごく跳び跳ねる勢いで喜びたいところだけど、素直に喜べないぐらい、今のわたしには自信が備わっていなかった。

いつまでも難しい顔をしていると、茉理ちゃんが机の上に肘を置いてふたりの距離を詰めてきた。

そして内緒話をするとき特有の小声で言う。


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