いつでも一番星


「唯斗が……喜ぶ……?」


何がなんでも拒否しようとしていた茉理ちゃんだけど、ふと落ち着きを取り戻して。
わたしの言葉の一部を、不安げに呟いて繰り返した。

その表情はどこか儚くて……でも頬には、徐々に赤みが差していく。


……あれ、もしかして?

茉理ちゃんのそんな顔を見るのは、初めてのことだった。だけど、すぐにピンとくる。

誰かを想うその切ない表情の意味も、もちろん、その誰かの正体も。


「……茉理ちゃんって、横峰くんのことが好なんだ?」


予想に確証を得るために、やや尋ねるように言った。

すると茉理ちゃんは一瞬目を丸くしたあと、観念したような様子で眉を下げた。
そして、照れくさそうに笑いながら頷く。


「やっぱり、そうなんだ……! それならそうと、言ってくれたらよかったのに」

「……うん、そうだよね。でも今までさ、誰にも話したことなかったんだ。一度誰かに言葉にして教えたら気持ちが膨れ上がって、あいつの前で平常心保つのも難しくなりそうな気がしたから……。でも、黙っててごめんね」


そう言うと、しゅんと俯いてしまった茉理ちゃん。

まさか謝られるとは思っていなかったから、びっくりしながら慌てて首を横に振る。


「ううん、謝ることないよ。……わたしの方こそ友達なのに、全然茉理ちゃんのそういう気持ちに気づけなくてごめんね」


謝るとしたら、それはわたしも同じ。

だって茉理ちゃんはいつでも、わたしの恋の手助けをしてくれていたというのに……。
わたしはちっとも、茉理ちゃんの複雑な心境を察することができていなかった。

情けなくて、悔やまれる。

だからこそ余計に、力になりたいって思いが芽生えてくるんだ。


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