いつでも一番星
茉理ちゃんは言わなかったけれど……本当は、誰にも話せずにずっと悩んでいたのかもしれない。
気持ちがあふれてしまったら、という不安と、打ち明けたい思いの狭間で、揺れながらもがいていたのかもしれない。
だからこそわたしの言葉に促されたときに、驚きはしたものの、すぐに気持ちを打ち明けてくれたんだと思う。
もがきながら、誰かに手を差し出してもらうのを待っていたはずだから。
……今、このタイミングで気持ちを知ることができてよかった。
そして最初に茉理ちゃんの気持ちを知った者として、これからはたくさん力になろうって、強く心に誓ったんだ。
「……じゃあ、これからはいっぱいあいつとの話を聞いてもらおうっかな。まあ、悩みっていうか愚痴になりそうだけど」
「うん! 愚痴でもなんでもいっぱい聞くよ! もちろん、のろけ話とかも!」
「えー、のろけなんて……」
「ないの?」
「……あ、あるけど、そういうのは恥ずかしいからやだっ!」
瞬く間に赤面してそっぽを向く茉理ちゃん。
きっと今、頭の中に意中の彼が浮かんでいるであろうその表情は、とてもかわいく見えた。
こんなにも恋する女の子の表情だってするのに、普段はまったくわたしや横峰くんの前でそれを見せていないなんて……。
その平常心、かなりの尊敬レベルだよ。
ナツくんの前だとすぐに緊張してしまうわたしには、とっても見習いたい技だ。
「……そうだ、すっかり忘れかけてたけど。バレンタインの手作りお菓子、わたしと一緒に練習するのは確定だからね!」
勝手に決めていた肝心なことを、念を押すように満面の笑みで伝える。
すると火照った顔をぱたぱたと手で扇いでいた茉理ちゃんの動きが、静止画のごとく綺麗に数秒間固まった。