いつでも一番星

「平岡さんに声をかけたときから、ちょっと様子が変だと思ってたんだ。目元を押さえて佇んでるように見えたから……」


ナツくんはそう言いながら、何も言えずにいるわたしを心配そうに見つめてくる。

その様子を見て、察しがついた。

ナツくんが声をかけてきたとき、やけに窺うような声だった理由を。

そっか……。

最初から、気にかけてくれていたんだね。

だからあんな質問をしてきたんだ。残っていた涙を見つけて泣いていたことを確信したからこそ、そのわけを聞こうとして。

謎だったナツくんの行動や言葉の意味が次々にわかって、すーっと胸が軽くなった。
それからじわじわと、温かいものがわたしの心を包み込んでいく。

ナツくんのことを想って涙に濡れていた心が、今はナツくんの優しさで慰められていた。


「もし……嫌でなかったらでいいんだけど、泣いてた理由を教えてくれる？　なにか悩んだりしてるなら、少しは話せば楽になるかもしれないし」


泣いていた理由は悩みだと自己解決で断定したらしく、ナツくんは真剣な顔でそんなことを言う。

実際はナツくんに話せる悩みじゃないから言えないけれど、本当に悩みを話したとしたら真面目に受け止めてくれそうな雰囲気を醸し出していた。


……ねぇ、ナツくん。

どうしてきみは。


「俺じゃ頼りにならないかもしれないけど……。心配なんだ、平岡さんのことが」


どうしてそんなにも、優しいの……？