いつでも一番星
「……本当に、心配してくれてありがとう」
優しいきみが好き。
真っ直ぐな心で、何事にも真剣に向かうきみが好き。
やわらかい笑顔を向けてくれるきみが好き。
伝えたい想いはいっぱいあるけど、今はそれの代わりにお礼を言うだけで精一杯だった。
……だって、今伝えても、ナツくんは困るでしょう?
――『笑ったときの空気が違うのよ。気を張ってないっていうか、やわらかい感じで』
茉理ちゃんは以前、ナツくんがわたしに見せてくれるあの笑顔のことをそう言っていた。
身に覚えのある笑顔だったし、わたしはそれに特別な何かを期待したりもした。ナツくんの心に近づけているのかも、って。
……でも実際は、まだまだ距離は変わっていないみたいだ。
「いいよ、お礼なんて。友達なんだから、心配するのは当たり前だし」
“友達”の距離で伝えても、きみの心にこの想いは伝わらないよね――。
さも当然のように友達だとナツくんは言ってくれたけど、嬉しいような切ないような複雑な気持ちになった。
ナツくんとの距離が全然縮まっていないのはわかっていたけど、まさか本人の口から直接、断定的な言葉を聞くことになるなんて……。
ため息をつきたい気分だ。
ただナツくんの前でつくとまた心配されかねないから、心の中でひっそりとつくしかなかったけど。
まだ上履きだったナツくんが、会話を終えて一段落がついたタイミングで靴に履き替えている。
言い様のない気持ちを抱えたまま、靴箱の前で立ち尽くしていただけのわたしも、上履きをローファーに履き替えた。
その途中、隣の横顔をこっそり眺めていたけど、ふと、その様子にひとつの疑問が浮き出てきた。