いつでも一番星
「だからもし、自信を失いそうになったら……。わたしが言ったこと、ちょっとでいいから思い出してほしいな。ナツくんのすごさや努力を知ってる人が、ひとりでもいるんだってことを。わたしは精一杯、ナツくんのことを応援してるから」
野球に詳しくないわたしの言葉なんて頼りないかもしれない。
ナツくんが必死の思いで努力しているときに、役に立つような技術のアドバイスだってできない。
けど、きみだけを真っ直ぐ見てるから。
きみに送るエールが微かでもいいから、きみが弱ったときに心に届いて、力になれたらいいって思うんだ。
「……って、わたし、なんか偉そうだよね。調子乗ってごめんね……!」
散々好き勝手なことを言ったあとだけど、我に返るとナツくんの反応を知るのが怖くなって慌てて謝った。
ちょっとお礼を言われたからって、何言っちゃってるんだろう……。
「ううん、全然いいよ。むしろ嬉しいから」
夢中になって言いたいことを言っていた自分を反省しながら、俯いてそれを誤魔化すように髪を手でとく。
すると、思いのほか優しい声が降ってきた。
そっと目線を上げてナツくんを窺えば、気を悪くしたとかそういう様子ではないみたいだ。
「……そうだな、思い出すよ。平岡さんのこと。平岡さんの応援に応えられるように、これからも頑張らないとな!」
無邪気に笑うナツくんが、瞳の奥に焼きつく。
わたしもそっと微笑み返した。
「うん……頑張ってね!」
……きみはいつでも、どんなわたしでも真っ直ぐ向き合ってくれるよね。
嫌な顔なんてせずに、笑顔を見せてくれる。