いつでも一番星


そんな人を思う優しさであふれるきみに、わたしも真っ直ぐ向き合いたい。

きみがありのままの自分を曝け出してくれるようになるぐらい、心の距離を縮めていきたいんだ。

だからわたしは、今自分ができることをしなくちゃ――。



「……じゃあ、俺はこっちのバス停だから」


校門を出て少し歩いたところで、使うバス停が違うナツくんとは別れることになる。

また明日、と言って左の道に進もうと向きを変えたナツくん。

わたしはその背中に今日の後悔を思い出して、気づくと大きな声で呼び止めていた。


「ナツくん、待って!!」


驚いたように振り返るナツくんが、どうしたの?と問うようにわたしを見る。

……今のわたしが、できることは……。


「あの……、よかったらこれ、どうぞ!」


カバンから取り出したオレンジ色の紙袋を両手で差し出した。

ナツくんにもばれるんじゃないかってぐらい手が震えている気がするけれど、……もう、ここまで来て怖気づくことなんてできない。

1日中チャンスがあったにも関わらず、渡せなかった友チョコ。だけどちゃんと、渡すんだ。


――ナツくんのそばにいたい。

いつの日か、一番星に祈った想い。

その想いを叶えるために、ちゃんと、きみと向き合うよ。


「これ、友チョコなの。今日、バレンタインだから。わたしと友達になってくれてありがとうっていう、ナツくんへの感謝の気持ちです」


わたしにとってナツくんは……。

憧れの人で、好きな人で、友達でもあるから。

今伝えられる最大限の感謝を、ありのままに伝えるんだ。

それがわたしができる、この恋の大切な一歩だと思うから――。


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