いつでも一番星
言うべきをことをすべて終える頃には、さすがに緊張もピークに達していて。
ナツくんから目を逸らしてしまいそうになる。
だけどきつく唇を結んで、真っ直ぐナツくんの目を見た。向き合うべき相手から逃げないように。
「あ……えっ? お、俺にくれるの?」
ドキドキしながら待っていたナツくんの第一声は、戸惑っているような声だった。
遠慮がちにそれに頷く。
「そうだよ。……あっ、でもね! いらないって思ったのなら、全然無理して受け取ってくれなくてもいいの! ナツくんならたくさんチョコ貰ってるだろうし、これ以上ほしくないって思ってもおかしくないし……」
……ああ、わたしってば、何言っちゃってるんだろう。
逃げずに向き合いたいはずなのに、口から漏れるのは自分が傷つかないようにと言い訳じみた、逃げ道のような言葉ばかり。
できればナツくんに受け取ってもらいたい。
でも、もしもダメだったとしても、それは仕方のないことだし……。
気持ちがだんだんとマイナスな方に傾いていく中で、紙袋を差し出していた手が弱気になって少し引っ込んでしまう。
だけどその紙袋を、慌てた様子で伸びてきたナツくんの大きな手がしっかりと掴んだ。
「……いるよ! 平岡さんのチョコ、ほしい!」
紙袋を掴んで近づいた距離で、真剣な顔のナツくんがわたしを捕らえる。
必死さが滲み出ているように見えるのは……わたしの勝手な願望かもしれない。
けれどそうだとわかっていても、胸の高鳴りは止められなかった。
ナツくんが、わたしのチョコをほしいって言ってくれた……。
紙袋を掴んで離さない強い力を感じると、安堵の気持ちが湧いてくる。