いつでも一番星
「ううん、むしろこういう食感のお菓子は好きだよ。平岡さんがくれるお菓子、いつも俺の好みだからすごいよ」
「たまたまだけどね。……でも、よかった。受け取ってくれてありがとう」
「俺の方こそありがとう。大事に食べるよ」
紙袋の中に静かにチョコバーを戻すと、ナツくんは無邪気な子供のように嬉しそうに笑ってくれた。
その笑顔を見たら、落ち込んだりしたことなんてなかったかのように、わたしまで嬉しくなって笑顔になった。
理由はともあれ、ナツくんが喜んでくれているのは本心なんだなって感じることができたから。
……ナツくんは、食べたら気づいてくれるかな。
今日渡したそのお菓子の中に、以前きみが好きだと言ってオレンジが使われていることに。
友チョコの中に隠したわたしの想いのように、こっそりとチョコバーの中に忍び込んでいる甘酸っぱいオレンジ。
その小さな存在を、ナツくんが少しでも意識してくれたらいいな……。
いつしかナツくんの背後にひっそりと浮かんでいた一番星の輝きに、そんなわがまま願いを託した。