いつでも一番星


わたしは一応、何とか今日中に終わる目処で課題を進めてきていたけど、茉理ちゃんはどうやら違ったらしくて……。

茉理ちゃんから「助けて」といういやに短く、だけどやけに危機感を訴えてくるメッセージを受信したのは、今朝のことだ。

詳しい話を聞いたところ、5教科分の課題のうちまだ2教科分の課題にまったく手をつけていなかったらしく、それゆえに手伝ってほしいとのことだった。

だけどあいにくわたしも課題の一部が終わっていなかったこともありすぐには手伝える状況でもなくて、最終的にわたしの家で一緒に課題をやることになった。わたしが自分の課題を終えたあとに、手伝う約束もして。

まあ、実際のところは手伝うと言っても、課題の答えを見せているだけだけど。


「終わったー!」


シャーペンの芯が滑る音が止み、茉理ちゃんが清々しい表情で腕を天井に向けて伸ばした。

わたしと同じで身体に疲労が溜まっていたらしく、とても気持ちよさそうな顔をしていた。


「あれ、もう終わったんだ。早かったね」

「うん。雫に見せてもらうまでに、なんとか自分でも頑張って解いてたからね。でも全然終わってなかったし、雫に見せてもらえなかったらこんなに早く終わらなかったよ。本当にありがとね!」

「いえいえ、お役に立てたならよかったよ」


茉理ちゃんからプリントを返してもらう途中、我が家に来てからずっと憔悴しきった顔でプリントに向き合っていた姿を思い出して、心からそう思った。

途中まではちゃんと自分で頑張ってたけど、相当追い詰められてるみたいだったもんなぁ……。


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