いつでも一番星
「はあー、ちょっと休憩しよー」
クリアファイルの中に折り畳んだプリントをしまっていると、数十分前みたいに茉理ちゃんが後ろに倒れ込んだ。
だけどくつろぐために寝転んだだけだったらしく、今度は痛そうな音もしない。
「このラグマット、肌触りがいいねぇ」
むしろラグマットに頬がつくぐらいべたっと床に張り付いていて、完全にリラックスモードに突入していた。
あいにくわたしは、このラグマットは気に入ってないんだけどなぁ……じゃなくて、それより。
「茉理ちゃん、そんなにゆっくり休憩してていいの? 残ってるあとひとつの課題、まだ少しもやってないんでしょう?」
聞いた話によると、我が家に来る前の時点で英語と国語の課題が終わっていなかったはず。
さっき見せたプリントは英語のものだから、あとは国語のプリントが残っているというわけだ。
しかもその課題というのが、通常のときでさえ面倒くさいあの漢字プリントである。ちなみにこちらも、英語同様に5枚綴りの大サービスだ。
わたしが春休みに入ってすぐに取りかかったあの手強い敵。あれがまだ残っていることに不安しか抱けない。
だけど心配されている当の本人はというと、何も気にしていない様子で寝転んだままひらひらと手を振って見せた。
「あー、大丈夫大丈夫。漢字プリントは辞書さえ使えば答えは分かるし、そんなに焦らなくてもなんとかなるしね」
「そっ、そう。ならいいんだけど……」
実際わたしが辞書を引きながら解いたときは、結構時間がかかってしまったけど……。
茉理ちゃんがそう言うなら、たぶん大丈夫なのだろう。
ゆっくりリフレッシュすれば、きっとまたこのあとにやる課題もはかどるだろうしね。