いつでも一番星
茉理ちゃんの返事を聞いてまあ大丈夫だろうと判断したわたしは、課題をしまったクリアファイルと文房具を持って立った。
それらを勉強机の上に置いて、今度はテーブルの脇に置いていたお盆を持つ。
お盆の上には課題を始めるときに持ってきていた飲み物のグラスがふたつ乗っているけど、それらはだいぶ前からすでに空になっていた。
「飲み物汲んでくるけど、茉理ちゃんはなにがいい?」
「じゃあ、さっきと同じリンゴジュースでお願いしようかなー」
「オッケー。ちょっと待っててね」
茉理ちゃんのリクエストを聞いてから、部屋を出てキッチンへと向かった。
……そうだ。
せっかくだから、何かお菓子も持っていこうかな。
ふたつのグラスにリンゴジュースとオレンジジュースを注ぎながら、買い置きか作り置きのお菓子はあったかなと考えを巡らせる。
ジュースのペットボトルを冷蔵庫にしまうついでに、中に一通り目を向ける。だけどあいにく、もてなすのにふさわしいようなお菓子はなかった。
おまけにキッチン内をくまなく探しても、何一つよさげなお菓子はなかった。こんなときに限ってないなんて、なんてタイミングが悪いのだろう。
仕方ない、これでもいいかな……。
諦めた結果、最終手段として思い浮かべていたものを持っていくことにした。
ダイニングテーブルの隅に置いてあった円柱の缶。
その中身をお皿に並べると、グラスと共にお盆に乗せて自室へと引き返した。
「おまたせー」
開けっ放しにしておいたドアを通り、部屋へと入る。