いつでも一番星


大の字になって寝転んでいた茉理ちゃんが、帰ってきたわたしを見ると慌てて起き上がった。その際に大きな欠伸をひとつこぼす。

気を抜いてリラックスしていたことで眠気に襲われたらしい。


「ふあ、おかえりー。やばいやばい、うとうとしてたよ」

「茉理ちゃんはあとひとつ課題が残ってるんだから、まだ寝ちゃダメだよ?」

「わかってるよー。あっ、ジュースありがとね」

「いえいえ」


目の前で再び茉理ちゃんがこぼした欠伸につられそうになりながらも、何とかそれを堪えてグラスをテーブルの上に並べる。

茉理ちゃんの教材と文房具が隅に寄せられているそこに、グラスと共に持ってきていたお皿も乗せた。

リンゴジュースをストローで飲んでいた茉理ちゃんが、目ざとくお皿に並んでいるお菓子に興味を抱く。


「ん? これはなに?」

「おからクッキーだよ。あいにく今、これしかお菓子なくって……まあ、よかったらどうぞ」


気に入ってもらえるかドキドキしながら、お皿を茉理ちゃんの前に寄せる。

せめて見栄えがよくなるようにと綺麗にお皿に並べたそれは、おからクッキーだ。

小腹が空いたときなどに、家族みんなが自由に食べられるようにと常備しているもの。

ちなみに作って用意しているのはわたしで、このおからクッキーは昨日焼いたばかりだった。

家族しか食べないから形も味もシンプルなだけに、お客さんの茉理ちゃんに出すのはどうかなって躊躇してしまうけど……。

茉理ちゃんはそんなわけも知らないせいか、何を気にする様子でもなく、すぐさま手を伸ばした。


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