いつでも一番星
「ありがとー、いただきます! ……あっ、おいしー! おからクッキーって初めて食べたけど、あたしこれ結構好きかも」
「ふふっ、気に入ってくれたならよかったよ」
どうやら茉理ちゃんの好みの味だったらしく、次から次へと口に運んでいた。頬張りすぎて、顔がリスみたいに膨らみかけている。
わたしも1枚つまんで、食べ慣れた味のクッキーを噛み締めた。
大して手間をかけて作ったわけでもなくいたってシンプルなお菓子だけど、目の前で喜んでくれている姿を見ていたら、いつもより特別おいしく思えた。
「これ、雫が作ったんだよね?」
「そうだよ」
「やっぱりそうか。いいなぁ、お菓子作りが上手な子って。こんなおいしいお菓子も、自分で作れたらいつでも食べられるんだもんね」
いいなぁ、と再度呟いておからクッキーをかじる茉理ちゃんに羨望の眼差しを向けられた。
そこまで言うなんて、よっぽどこのクッキーを気に入ったのかな?
「よかったら、このクッキーのレシピ教えようか? 茉理ちゃんならもう、クッキーは上手に作れると思うし。バレンタインのときの要領で作れば大丈夫だよ」
「えー、ほんとかなぁ……」
わたしの提案に、茉理ちゃんは訝るような瞳を向けてくる。
「……あのときはさ、唯斗に渡したい一心で頑張ったから作れたけど、自分のためだけに作るっていうのは、あんまり頑張れる気がしないんだよね」
少し考えるような素振りを見せたあと、あはは、と茉理ちゃんは苦笑いをこぼした。
恋の力で頑張った自分の姿を思い出したのか、照れくさそうに頬を染めている。
そんな姿を見て、それならという思いでさらに提案をしてみた。