いつでも一番星
あの日、思いがけないタイミングでナツくんに会い、そのおかげでチョコも渡せたことは、茉理ちゃんとの報告会の中でちゃんと報告済み。
放課後に廊下ですれ違ったときからだいぶ気にかけてくれていたみたいで、無事に渡せたことを告げると、電話越しに安堵して笑ってくれていた。
こういうとき、自分のことのように喜んでくれる友達がいるのは心強いって、改めて感じて嬉しくなる。
「ナツと雫って、着実に距離が近づいてきてるね」
食べてなくしてしまうのがもったいなくて、なかなか中身に手をつけることができていない小瓶。
まだまだ重みのあるそれを人差し指で揺らしていると、突如そんな言葉が茉理ちゃんの口から落とされた。
何やら嬉しそうに言う茉理ちゃんに、わたしは自信のない声で返す。
「……そう、なのかなぁ」
「いやー、だってさ。このお返しを見てたらそう思えてくるよ。なんか凝ってて、愛情こもってますって感じだし!」
そう感じるのは単に、茉理ちゃんが横峰くんからのお返しと比べちゃってるからじゃないの……?
そう思ったけど、言えばまた横峰くんへの怒りを露にしてしまいそうだったから、そっと喉の奥に滑らせた。
きらきらとした星が閉じ込められているみたいな小瓶をぼんやりと見て、相変わらずゆらゆらと指で揺らし続ける。
……ナツくんは、どんな気持ちでこれを選び、渡してくれたんだろう。
実際は茉理ちゃんが言うような特別な感情なんて、ちっともなくて。お返しを渡す相手全員に、同じものを同じような笑顔で手渡したに違いない。
きっとそれが現実。どれだけ期待を抱いても、わたしとナツくんの関係性は、相変わらず友達という名の平行線を保ったままなのだろう。
……でも。