いつでも一番星


試合をしてみない限り、結果はわからない。でも……みんな信じてると思うんだ。

ナツくんたち野球部員の人たちも、茉理ちゃんたちマネージャーの人たちも。そして、わたしのように野球部を応援している生徒や先生たちも。

一番の強さを目指して努力したみんなの力は、ちゃんと一番のあの場所に届くものだと、信じているんだ。

強豪校と対決しても、やりあっていけるはずだと……。


「そうだね。みんなだって、一緒の気持ちで頑張ってるよね」


わたしの言葉に頷きながら、茉理ちゃんは確かめるように呟いて微笑んだ。

同じ気持ちで、同じように一番になりたいと思っている。そのことを本当はわかっているよっていう、信頼の思いで笑っているように見えた。


「……行きたいな、甲子園。この夏は最後のチャンスだし」


――最後。

その響きに、心臓が嫌に反応する。

……そっか。もう、この夏が甲子園を目指すラストチャンスなんだ。

夏の県大会で一度でも負ければ、3年生のナツくんたちはそこで引退ということになる。

だからこそ、きっと。ナツくんたちは今まで以上に強い思いで、この夏に挑むことになるだろう。最後の瞬間を、最高の場所で迎えるために。


「……でもまあ、それより先に春季大会を頑張らないとね! ここで勝って夏のシード権を取っておくのが、第一段階だから」


ふとわたしを見た茉理ちゃんは清々しい笑顔を浮かべていて、前向きに次の試合のことを考えていることが伝わってきた。そして、その決意の裏に自信を秘めていることも。


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