いつでも一番星


できることなら、液晶画面越しではないリアルな試合を観てみたい。
ナツくんがマウンドに立って投げるその瞬間を、観客席から見届けたい。応援の声を届けたい。

そんな思いはあった。でもいざ行こうとすると複雑な思いがないまぜになり、その結果なかなか踏み切れなくて今日まで行けずにいる。


「どう? 来てみない?」

「……わたしが、行ってもいいのかな?」


部活の試合の応援というものに行ったことがないから、どうしても戸惑ってしまう。

応援団とかでもないのに行くなんて、なんだか図々しいのかもっていう不安がよぎるんだ。それが、応援しに行きたい気持ちを引っ張る重りになっていた。


「もちろん、いいに決まってるじゃん! 雫のことだからいろいろ考えすぎて遠慮してるんだろうけど、そんな難しく考える必要ないよ。気軽においで。野球部のみんなも、たくさんの人に観に来て応援してもらえる方がすごく力になるから」

「そっ、そっか……。それなら、行ってみようかな。次の試合は、観に行く予定を立てておくよ」

「うん、楽しみに待ってるね」

「わたしも……楽しみにしてる」


わたしの気持ちをお見通しな茉理ちゃんに促されて、とりあえず予定を頭の中に書き足しておく。

いざ決めてしまうと楽しみな気持ちが浮き彫りになってきて、早くも胸が高鳴っていくのを感じた。


ナツくんが野球をする姿。
公式戦でのそれは、一体どんなものだろう?

普段被服室から眺めている練習中の姿よりも、マウンドから投げる姿は何百倍も輝いて見えそうだ。


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