いつでも一番星
……まあ、自分がどのクラスかっていうことよりも、たぶん横峰くんと同じクラスになれたかどうかを確認したい気持ちが大きいのだと思うけど。
でも残念ながらそんな茉理ちゃんの願いが叶わないことを先に見たわたしは知っているだけに、懸命にクラス名簿に視線を向けている茉理ちゃんの後ろ姿を複雑な気持ちで見ていた。
「おはよう、平岡さん」
「平岡ちゃん、はよーっす」
「ふたりともおはよう」
茉理ちゃんが帰ってくるのを待っている間に、近づいてきたナツくんと横峰くんが声をかけてくれる。
ふたりがいつもと同じように挨拶してくれたことで、へこんでいた気持ちも少しだけ和らいだ。
クラスは離れても、変わらないものがある。何となく、そう感じたから。
挨拶を終えたふたりは、茉理ちゃんと同じようにクラス名簿のもとへ向かう。
その背中を追いかけて、わたしも再び昇降口のガラス扉を目指した。そこにいる茉理ちゃんと合流して、それから新しい教室へと向かうために。
「うわぁ、クラス替えやり直したい……」
ガラス扉の前で顔を合わせた茉理ちゃんの表情は、あからさまに落ち込んでいた。
その気持ちが痛いぐらいにわかるだけに、同意のつもりで苦笑を返す。
「なかなか上手くいかないものだね。クラス替えって」
「ほんと、上手くいかなさすぎる。雫ともクラス離れちゃったし……あいつとも離れちゃったし。いいことなしだわ」
あいつ、とはもちろん横峰くんのこと。ちょうどクラス名簿を眺めている横峰くんの姿にちらりと視線を向けて、茉理ちゃんは小さくため息をついた。