いつでも一番星
少し前のわたしみたいにうなだれた茉理ちゃんを励ますように、ぽんぽんと軽く肩を叩いた。すると同じように肩を叩かれたから、わたしのことも励ましてくれたらしい。
顔を見合わせると、お互い吹っ切るように前向きに笑い合った。
「俺が1組で、ナツが6組かー。ナツとクラス離れるのは初めてだな」
「だな。中学のときからずっと一緒だったから、なんかすげー違和感ある」
「あらら、ナツくん? そんなに俺と別のクラスで寂しい? 安心したまえ。毎日おまえのクラスに会いに行ってやるよ!」
「いや別に、寂しくないし……。ほぼ毎日部活で顔合わせるんだから、わざわざ会いに来なくてもいい」
「そんなつれないこと言うなよぉ~! 俺が寂しくて泣いちゃうだろ!」
「ちょっ、ばか。くねくねしながら引っつくなよ! 暑苦しい!」
わたしと茉理ちゃんが下駄箱に向かおうと歩き出したとき、まだガラス扉の前にいるナツくんと横峰くんが何やら盛り上がっていた。
横峰くんがふざけながらナツくんに抱きついていて、ナツくんはそれをうんざりした顔で押し退けている。
ちょっとした、男の子同士の絡み合い。ナツくんも本気で嫌がっているみたいではなさそうで、ふたりって仲がいいなぁって思いながらわたしはそれを見ていた。
でもそんな光景を見慣れている茉理ちゃんは、「またやってるよ、あいつら」と呆れたような口振りだ。そしてさっさと下駄箱の前に移動していく。
わたしはもう一度だけ仲睦まじいふたりの姿をちらりと見てから下駄箱へと向かった。
新しいクラスの下駄箱ではなく、前のクラスの下駄箱のところへ。