いつでも一番星
「う、うん! どうぞどうぞ!」
「ふはっ、ありがとー」
首をぶんぶんと上下に振りながら返事をすると、その動きが変だったのか、ナツくんは息をこぼすように笑っていた。
……う、なんか、恥ずかしい。おまけに勢いよく頭振りすぎて、くらくらするよ。
ていうかナツくん、どうしてわざわざわたしの隣に……?
友達もいるみたいだし、てっきりその人たちのそばに座るんだと思ってた。
だからちょっと意外で、それゆえに、わたしの隣に座ったのは何か特別な意味があるのかなって、都合よく期待なんかをしてしまう。
ほんと、なんでだろう。
「……ん? どうかした?」
疑問が浮かぶあまり、ペンケースから取り出した筆記用具を丁寧に机上に並べている横顔を見つめ続けていたら、その視線に気づいたらしいナツくんに逆に見つめ返されてしまった。
「えっと、あの……友達と一緒に座らなくてよかったのかな、って思って……」
教室前方にいるナツくんの友達の方を見遣って、それから彷徨うように揺れた視線は、最終的に膝の上でぎゅうっと握り締めている両手の拳を捉える。
適当に誤魔化せばよかったのに、気になるあまり正直に気になっていたことを聞いてしまった。
……うわぁ、自分で聞いておきながら返事が怖い。
ひとりぼっちで寂しそうにしてるのがかわいそうだったから隣に座った、とか。そんな理由だったらどうしよう。
ナツくんは優しいから、もしかすると、そんな事情もあり得るかもしれない。変に気を遣わせちゃってたら嫌だな。