いつでも一番星
「ああ、あいつらね。友達だけど、別に大丈夫だから」
「そっか……」
特に深みのない声であっけらかんとナツくんは言っていて、少し安心した。
わたしが心配していた理由はなさそうだ。たぶん。
でもじゃあ、なんでわたしの隣に?と最初の疑問に戻ったところで、ナツくんが続ける。
「それに、平岡さんだって友達だし。俺が平岡さんの隣に座りたいって思ったから、ここにいるんだよ」
……まるで、わたしが考えていること見透かしているみたいだった。
俯いているわたしをナツくんが覗き込んでいるのを気配を感じておずおずと顔を上げてみれば、優しく目尻を下げて微笑む姿が目に入る。
気遣いなんかじゃないよって、何となく、そう言われているような気がした。
「……もしかして平岡さん、ほんとは隣に座られるの嫌だった?」
笑顔を引っ込めて、今度は眉を下げた不安そうな顔になる。
ナツくんはそう聞いてくるけど、本当は知ってるんじゃないかって思えた。わたしが、ちっともそう思っていないこと。
「嫌なんかじゃないよ」
むしろ。
「あの……嬉しかった。この選択科目が一緒の友達、ナツくん以外はいなかったから。だから隣にいてくれると、嬉しい」
すごいね。
きみの優しさはいつでも、後ろ向きなわたしの心を励ましてくれる。気持ちを、少し素直にさせる。
口から飛び出したそれは、すべてわたしのありのままの思い。
ナツくんの行動の意味ばかりを疑っていたけど、本当はそんなの全部飛び越えて、ただ嬉しかったんだよ。
きみが隣にいてくれる。ただ、それだけで。