いつでも一番星


だけどサトちゃんの手元を見て、わたしは気づいたことを口にした。


「……でもそれを言うなら、サトちゃんだって同じだよ。わたしのことばかり見て、全然進んでないもん」

「ははっ、それに気づかれたらなにも言えないわ~」


サトちゃんは机の上に目を落とすと、お手上げと言った様子で笑う。そして観念したように、さっそく自分の作業に戻った。

部活中は別に、おしゃべりをしながら作業をしてもかまわない。
だけどこれ以上サトちゃんとしゃべっていると埒が明かないから、わたしも黙って再び作業に戻った。

今度こそサトちゃんに茶化されないように、目の前の作りかけの作品に集中する。


わたしたちが今作製しているのは、10月末の文化祭で展示するための作品だ。

毎年家庭部は日頃の活動報告という名のもとに、文化祭では展示会を開いている。

普段から作ったりしていた作品はもちろん展示するのだけど、それだけでは数が足りない。

だから9月末の今は、展示会の見栄えをよくするためにより多くの作品を作る真っ最中なんだ。

部員はみんな、自分の作品のメインを飾るにふさわしい作品作りに精を出している。テーマなんかを決めたりして。


ちなみに、わたしの作品のテーマは“動物たちのお茶会”。

今まで作ってきたニードルフェルトのアニマルマスコットで、動物たちがお茶会をしている光景を演出する予定だ。

そのためにはお茶会に参加する仲間を増やさなければならないし、周りのオブジェもそれなりに作らなければならない。

あと動物たちには洋服も着せてあげたいから、やらなきゃいけない作業はまだまだ残っている。


< 23 / 267 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop