いつでも一番星


「ならよかった。それじゃあ俺、来週からもずっと平岡さんの隣に座ろうかな」

「えっ!?」

「あれ、ダメ?」

「……ダメじゃ、ない」


まるでわたしの反応を楽しむみたいに問いかけてきて、それにまんまと転がされて動揺するわたしを、ナツくんは笑って見ていた。嫌味な笑顔ではなくて、やわらかな表情で。

わたし、からかわれてるのかなぁ。

そんなふうに思ったりもしたけど、こうやって話せているなら何だっていいかもって思えた。

ナツくんだけじゃなくて、わたしも楽しくて笑っていたから。



それから、授業が始まるまでの数分間。

新しいクラスでのこととか、新入部員が加わった部活のこととか。

知らない時間の知らないナツくんのことをいろいろ聞いて、わたしも同じように話した。


一度きっかけを掴むと話しやすくなって、授業が終わってそれぞれの教室に戻る途中も自然と隣に並んで話していた。


「そういえば今度の日曜日、試合があるんだよね?」

「そうそう、よく知ってるね。……て、あれか、沢谷から聞いたのか」

「うん」


茉理ちゃんから試合予定を聞いたっていうのもあるけど、本当はその前から調べてすでに知っている。

春休み最終日。茉理ちゃんと話している中で、今度の野球部の試合は観戦しに行こうって決めていたから、あらかじめ予定はチェックしていたんだ。

でもそこまで言ってしまうとナツくんの予定に興味津々ですってアピールしてるみたいだから、そこは黙っておくことにする。


「あの……頑張ってね! 勝てるように、目一杯応援してるから」


観に行くつもりだけど、先に直接言っておきたかった。

当日はきっと、こうやって目を見て伝えることは叶わないだろうから。


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