いつでも一番星


「……実は、ちょっとぼーっとしてた」

「えー、もったいない! せっかく森山くんが頑張ってる姿を生で観られるんだから、1秒たりとも逃さず観なくちゃ! リードしてるって言っても油断できないんだから、私たちも集中して応援しなきゃダメだよ!」

「そ、そうだよね……。応援、頑張らなくちゃね!」


すっかり試合の興奮した空気に飲まれて高揚しているサトちゃんに熱弁されて、力強くそれに頷きながら私は気持ちを切り替えた。

そうだ。今は精一杯応援しよう。まだルールがよくわかっていなかったとしても、エールを送りたいという気持ちは変わらないのだから。

むしろ、大きく膨らんでいく。ナツくんが頑張っている背中を見るほど、その背中を支えて押していけたらいいなって……。


「いけいけ南田ー!!」


南田高校の攻撃に入り、3塁側の観客席が盛り上がる。

1回のときに先制点を得て、そのあとは3人で終わった守り。そして再度訪れたこの攻撃の回に今までのいい流れを維持しようと、応援する私たちの声にもさらに力が入っていた。

周りに合わせながら、普段は出さないような大きな声でエールを送る。

隣に座っているサトちゃんも、一生懸命かけ声をかけながら観戦していた。

その様子を見て、今日サトちゃんを誘ってよかったなと思った。一人で試合を観に行くのが寂しくて誘ってみたのだけど、たまたま野球に詳しかったし、何より楽しんでくれているみたいで嬉しかった。


それから私も、野球を楽しみながら観ていた。

ボールを投げたり、受けたり。打ったり、走ったりする。そんなナツくんや野球部のみんなが頑張っている輝くような姿を、今度はさっきみたいに見逃さないようにしっかり見つめていた。



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