いつでも一番星


家で進める作業もあるけど、展示会までの期間はあと約1ヶ月ばかり。

だからサトちゃんが言うようにナツくんを見てばかりいて手を止めていると、あとで慌てることになるかも……。

不安な未来が頭に浮かんで、裁ちばさみを動かす手を早めた。



 ☆★☆



午後6時。

活動終了の時刻は決まっていないのに、大体の部員はこの時間できりをつける。

だからもう、ほとんどの人が片付けを始めていた。


「雫ちゃん、今日はどうする? あたしは観たいテレビがあるからもう帰るけど」


サトちゃんに声をかけられて顔を上げると、彼女はすでに机の上にこぼしたビーズを広い集めているところだった。

ついさっきまではきらびやかなビーズアクセを作っていたというのに、行動が早い。


「わたしも帰ろうっかな。今日は課題も出たし」

「あっ、もしかして現代文の漢字プリント? あれ嫌だよね~、地味に面倒くさいし」


サトちゃんはまるで地獄を見たように顔を歪ませた。
わたしとは違ってサトちゃんは漢字自体が苦手というか嫌いだから、あの課題は天敵のようなものらしい。

わたしは苦笑をしながら片付けを始めた。


実を言うと、今日出された課題は現代文だけじゃなくて、他にも数学がある。

漢字プリントの提出日は来週の月曜日だからまだ余裕があるけど、数学だけは明日提出しなければならない。

わたしからすると、数学の方がよっぽど天敵。
だから今から帰ってやらなければいけないことを考えると、とても気が重くなった。


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