いつでも一番星


「ナツくん……」


わたしの勝手な憶測にすぎないのならそれでいい。

でももし少しでもナツくんに影が宿ってしまっているのなら、どうかナツくんが目指している一番の場所への道のりは、これからずっと優しく照らされていてほしいと願った。

わたしには、そのことを祈ることしかできなかった。


校歌斉唱を終えて、選手やマネージャー、監督の先生たちが南田高校側の応援席へと駆け寄ってくる。

彼らを歓声と拍手で迎えるその空間は、温かな空気で満たされていた。

選手が観客に向かって礼をする中で、わたしはナツくんの様子を窺うように見つめる。

他の選手同様、観客やベンチ入りが叶わなかった仲間に応えるように手を振りだしたその顔は、試合に勝ったことを喜ぶような清々しい表情に見えた。

ぱっと見では明るい笑顔に、少し胸を撫で下ろす。

……大丈夫、だよね? あれは、無理に笑っているわけじゃないよね?

前に自分の心を隠すように笑っている一面を見てしまっただけに、どうしても疑ってしまう。

だけど部員仲間に囲まれているナツくんを見ていたら、何となく大丈夫かなぁって思った。

横峰くんたちと一緒にいるナツくんは、きっとありのままのナツくんだって信じているから。


「ナツー、今日もコントロールよかったな!」

「唯斗、ナイスホームラン!」

「山田もよかったぞー!」


観客席からグラウンドにいる選手たちへと、次々に声がかかっていた。

試合を観て興奮しているたくさんの人たちの声は、応援していたときのように熱気を含んでいる。

口々に発せられる言葉は重なりすぎてあまり聞き取れないけど、知り合いであるナツくんや横峰くん宛てのものは自然と耳に入りやすかった。


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