いつでも一番星
「こっちこそ、ありがとうだよ。平岡さんにそんな風に思ってもらえるなんて、期待以上だった。誘ってよかったよ。……それに、平岡さんが観てくれてると思ったらいつも以上に頑張れたし」
「えっ……」
それは、どういう意味?
うっかり勘違いしてしまいそうになって思考が一瞬固まりそうになったけど、慌ててそんなわけないかと冷静さを取り戻した。
あれだよね。
友達を誘ったのに肝心の自分が活躍できなかったら恥をかく……だから、いつもより頑張ろうってよりやる気になった、とか。
きっと、そういう意味で言ったんだよね。
決して、わたしという存在に特別な意味はないよね。
今回はたまたま誘った相手がわたしだっただけで……というかそもそも、他にも誘った人だっているのかもしれないし。
ふと、心中を曇らせる嫌な光景を瞼の裏に思い浮かべてしまった。
“夏樹くん”と親しげにナツくんのことを呼んでいた、あの女の子とのことを。
もしかして、あの子も誘われていたのかな。わたしみたいに、ナツくんから直接。
マイナスなことほど、考え出したらきりがない。
ナツくんとあの子はもしかして、友達以上の関係だったりするのかな……。
そうであってほしくないと願うけど、言うことを聞かない頭が、ふたりが仲良さげにしている姿ばかりをどんどん想像してしまう。
嫌なことを考えすぎるあまり、何だか頭が痛くなってきた。
それでも今、そんな面倒くさい感情をナツくんの前で顔に出すわけにもいかない。
だからできる限りの強がりで笑顔を作り、わたしが言えることを精一杯伝えることにした。